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森を歩こう人体編

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森を歩こう人体編
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「森へー行きましょうーー娘さん」 という歌がありました。ポーランド民謡だそうです。去年ポーランドへ行ったとき知りました。私は森や湖が好きです。森へ行くと色々な植物や動物がいて楽しく,飽きません。ところがこのブログは本当の森ではなく、人体の森へ行きます。木のような骨、川の流れのような血管、道のような神経、これを探検に行こうと思います。学名も、薀蓄も、文学も、音楽も出てきます。試験のヒントが隠れているかも。さあ、メスとピンセットもって出かけましょう。
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共用試験終了

2009/07/02 13:45
先週日曜日に共用試験のOSCEが行われました。CBTはその前に行われていますので、これで今年の共用試験が終わったことになります。

臨床実習に上がる前の5年生に義務付けられた共用試験も4回目となり、軌道に乗ってきました。知識を問うのがコンピュータによる試験CBTで、作問側の目標は平均で80%です。しかしなかなかそういう平易な問題を作るのも難しく、これまで平均70%ぐらいの正解率でした。しかし今年は、かなり成績が良くなりました。

一方、態度・技能をテストするのがOSCEですが、こちらは90%を超える成績でした。
毎年の定期試験に加え、共用試験の導入で学生の負担は大変かと思いますが、頑張ったかいがあったようです。学生諸君、ご苦労様でした。

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ティラノサウルスの歯

2009/06/21 10:38
今日新聞を読んでいましたら、兵庫県で恐竜のティラノサウルスの歯が発見されたと言う記事が載っていました。

新聞記事によると、兵庫県三田市の「県立人と自然の博物館」は20日、同県丹波市の「篠山層群」下部層(前期白亜紀、約1億4000万〜1億2000万年前)から大型の肉食恐竜ティラノサウルス類の歯の化石が見つかったと発表しました。推定される体長は約5メートルで、これまで考えられていた同時期のティラノサウルス類(1−3メートル)の約2倍の大きさで、今回の発見でティラノサウルスの大型化の年代が大幅に早まる可能性があるとのことです。

化石は長さ約1.8センチ、幅6ミリのものと先端が欠けたものと合わせ計2本です。詳しい画像はこちらをご覧ください。

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ティラノサウルスは恐竜の代名詞と言えるほど有名な存在で、映画「ジュラシック・パーク」等の恐竜をテーマにした作品においては、最強の恐竜として描かれ、高い人気を誇っていますので皆さんもご存知かと思います。

上の写真は今年の4月にシカゴ・フィールドミュージアムを訪れた時にホールで撮影したティラノサウルスの化石標本です。これは1990年代にに発見された非常に保存状態のよいティラノサウルスの全身骨格化石で、発見者のスーザン・ヘンドリクソン(Susan Hendrickson)にちなんで「スー(Sue)」と名付けられ、シカゴ市民の人気者です。スーはオークションにより日本円にして約10億円という高額で落札されたことでも話題を呼びました。

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ティラノザウルスの歯はとても大きく、長いものでは歯根まで入れて20センチ以上あります。円錐形でギザギザしたスジが付いており、これで他の動物を攻撃したと思われますが、よく見ると前歯は小さく、いわゆる哺乳類の犬歯に相当する歯は長くなっています。爬虫類の歯は同型歯性といわれますが、歯列の場所により、少しずつ機能が違っていた事が分ります。後の獣形爬虫類でいわゆる異型歯性が出てきますが、その前兆といってもよいのかと思います。

日本でティラノサウルスの化石が発見されることは、この恐竜のアジア起源の可能性を示しています。とても興味深い発見です。

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古代人のむし歯

2009/06/09 17:02
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今日届いた歯科基礎医学会誌に「古人骨に見るむし歯の歴史」という英文の総説が掲載されました。著者は新潟看護大学の藤田尚先生で、我々の研究室でもセミナーをやっていただいたことがあります。藤田先生は東京大学や国立科学博物館にある古人骨を丹念に観察し、日本の歴史時代のむし歯の頻度や病理像を研究しています。今回の報告はこれまでの研究を英文でまとめたものです。

ちょうど前回6月4日の記事に縄文時代のむし歯の様子を掲載しましたが、今日は藤田先生の論文にも掲載されている写真で、縄文時代にもっとも頻繁に見られる頬側面の歯頸部根面う蝕の写真を掲載させていただきました。

五千年前のアメリカ原住民などいわゆる狩猟採集民族はむし歯率が0パーセント台でした。すなわちむし歯はほとんど見られなかったわけです。しかし、同じ時代でも縄文人のようにある程度食文化が進んで根菜類、木の実などを貯蔵して主食とするようになると、このようなむし歯が見られるようになってきます。

このことは縄文時代が豊かな狩猟民の時代であったことを意味するのだろうか。しかし、よく見るとむし歯の原因になった歯槽骨の退縮や、ここにはありませんがエナメル減形成が頻繁に見られることなどを考えると、生存のためのストレスはやはり大きかったことがわかります。幼児死亡率が高かったので平均寿命は15歳でした。このようなことから、よく言われるグルメな縄文時代というのは必ずしもそのままは受け入れられないというのが、藤田先生の考えのようです。

英文に挑戦する人は下記をお読みください。とてもためになります。縄文時代だけでなくて、弥生時代、古墳時代、鎌倉時代、室町時代、江戸時代など各時代のむし歯の特徴が解説されています。

原文 Hisashi Fujita: Dental Caries on Japanese Human Skeletal Remains, J. Oral Biosci. 51(2): 105-114, 2009
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虫歯予防デー

2009/06/04 15:25
今日は6月4日、ム・シということで虫歯予防デーです。我々歯科関係者には縁の深い日ですが、休みになったりはしません(笑)。むしろよけいに働かなければならない日です。1928年から続いているというのですからずいぶん古い行事ですね。

第2次大戦後、日本ではむし歯が爆発的に増えました。私もその世代で、母に連れられてよく歯医者さんへいったものでした。高度成長期の1980年代には12歳児で、むし歯経験歯数DMFT5.9を記録しましたが、その後はどんどん減り続け、今ではDMFTも2.0を割っています。フッ素の利用、少子化による衛生思想の普及、などいろいろな要因により、ここまで減りました。

ところで、先日、国立科学博物館というところに行って、縄文時代人の歯の様子を見に行ってきました。縄文時代人といえば、日本人の祖先ですが、この時代にむし歯はあったのでしょうか。

答えは、Yes です。

この時代は狩猟採集が中心の食生活で、ドングリやクルミ、クリなどの堅果類を主食としていましたが、これら糖分やでんぷんを含む炭水化物の残渣が虫歯の原因になりました。調査本数に対する虫歯の率は10%ほどになります。稲作が入ってくる縄文後期から弥生時代にはもっと虫歯が増え、20%になりました。

縄文時代は隣接面や歯頸部のう蝕が多いのが特徴です。咬合面にはあまり見られません。咬耗がどんどん進み、むし歯の進行よりも早いからだといわれています。一方、隣接面は食物残渣も残りやすいこと、また歯頸部は歯周病で歯根が露出することから、むし歯が発生します。歯科医療のない時代ですから、激烈な症状も多く、骨を見ているとよく根尖性歯周炎で歯槽骨がぽっかり無くなっているものが見られます。下の例がそれです。

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むし歯が少なくなった現在、過去の激烈な症例を見るとまさに今昔の感がありますが、むし歯を通して日本人の食を考えることも必要でしょう。虫歯の歴史に関しては畏友山田博之先生のわかりやすいホームページがありますので、こちらをクリックしてください。

写真は国立科学博物館のご協力を得ました。




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歯科技工の技術

2009/05/20 10:10
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4月から始まった歯型彫刻(カービング)の実習も、今が一番大変な時かと思いますが、ここががんばりどころです。より良い制作物を目指して頑張ってください。

上の写真は歯科技工士による作品で、歯列全体を石膏から彫り上げたものです。一本一本の歯が精密に彫られていることはもちろんですが、その配列の仕方も解剖学的にきわめて正確にできています。よく見ると口蓋部粘膜の切歯乳頭や横口蓋ヒダまで形成されています。すごい技術ですね。

これを作られたのは、遊亀裕一先生です。山手デンタルアートという会社の代表であると同時に、明倫短期大学の臨床教授としても活躍されている歯科技工界の重鎮です。補綴、技工関連の講演をあちこちでされています。下のURLを参照してください。

http://www.meirin-c.ac.jp/prokouza/seitaijyouhou.html

歯科技工士の世界ではカービングは長時間、徹底的に教育されます。歯学部の2年生の今の段階では、ようやく始まったばかりですので、ここまでは無理としても、ひとつの目標としてこのような作品を目指してもいいと思います。カービングの授業は一応、夏前には終わりますが、夏休みも含めてこのような制作物に挑戦する人が出てきてほしいと思います。



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教室セミナー 3 骨迷路・最新の3次元造形

2009/05/12 18:44
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今週のセミナーは国立科学博物館の河野礼子先生に来ていただきました。先生は松戸歯学部の講師として学生教育に尽力していただいていますが、研究面では歯の表面の細かい凹凸や内部構造のマイクロCTを使った仕事をされており、特に古人類や霊長類の歯の微細形態に関してはネイチャーやサイエンスに掲載される論文を書いている世界的研究者でもあります。

今日は歯の内部構造をCTで撮影してデジタル化し、それを見て触れることのできる3次元模型にする話をしていただきました。上の写真は、耳の骨迷路の模型です。内耳は側頭骨の中にある蝸牛管という聴覚器官と三半規管という平衡感覚器官とからなりますが、これはそのモデルです。

側頭骨をCT撮影し、骨迷路という骨の中の空間を撮影し、これをデジタルデータに置き換えます。RP装置という、光造形法とインクジェットプリンタが合体したような装置の中で、このデータに基づいて特殊な樹脂を薄い層状に吹き付け、光を当てて硬化させると立体的な模型が出来上がります。左下が、実物大ですが、デジタルデータなのでいくらでも拡大可能です。右は五倍大の骨迷路でちょうど手のひらのサイズになり、視覚的にとてもわかりやすい大きさになります。

RP装置とは Rapid Prototype の頭文字で、プロトタイプとは見本や試作品という意味です。このテクニックは現在では多くの工業製品に用いられています。製品模型の形の確認のために、データから「もの」をすばやく(ラピッド)作る技術が必要になり、さまざまな装置が作られていますが、薄い層を順に積み重ねていって、立体を作り出す積層造形の仕組みが基本になっています。

先生の本業である古人骨の歯の表面の形態やエナメル象牙境の写真は企業秘密で今日は出せませんが、いずれ論文になりましたら先生にお願いして公開したいと思います。今日のセミナー関連のお仕事は先生のホームページに掲載されていますのでついでにこちらをクリックしてください。

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新刊紹介 24 歯の人類学の方法と応用

2009/05/07 16:58
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昨年2008年にケンブリッジ大学出版から刊行されました専門書を紹介します。歯の人類学の、しかも洋書ということですので、こういうブログに出しても一般的にはあまり意味がないとは思いますが、先月のAAPA会議との関連で掲載します。

この本の編者は先月このブログで紹介しましたJoel Irish教授です。彼はは20年以上前、私がアリゾナ大学を訪ねたときはまだ学生でしたが、今はアラスカ・フェアバンクス大学の教授になりました。

もう一人の編者はG.C. Nelson教授です。この人にもAAPAでお会いしました。日本人類学会への入会を勧めたところもうすでに会員だということで、大笑いしました。ありがたいことです。

Irish氏は、本書でアメリカの歯の人類学dental anthropologyの歴史を書いています。アメリカはAAPAを創立したヘリチカ(Hrdlicka)自身が、シャベル型切歯の命名者であったことからもわかるように、歯の人類学が伝統的に進んでいます。カラベリ結節などの標準模型を作ったダールバーグ(Dahlberg)やスンダドントやシノドントで有名なターナー(Turner)もアメリカの人類学者です。この本では、かつてモンゴロイド・コンプレックスというアジア人の歯の特徴を見出した、元東京大学教授・埴原和郎も写真入りで紹介してあります。

内容は現在アメリカで活躍している歯の人類学者が各章のトピックごとにその最前線の研究を紹介し、考え方などを執筆しています。執筆者には私の知っている人が多く、私の論文も引用されていますが、それぞれに興味深く、アメリカ人類学の層の厚さを思い知らされました。

法医学関係の章もあります。骨や歯の研究に関して言うと、日本ではDNAやミクロの研究にほとんどの研究者がシフトしてしまった感がありますが、アメリカでは古典的形態の研究がさらに厳密で精緻なものへと形を変えて存在し続けています。こういうところは学ばないといけないところですね。





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