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森を歩こう人体編

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森を歩こう人体編
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「森へー行きましょうーー娘さん」 という歌がありました。ポーランド民謡だそうです。去年ポーランドへ行ったとき知りました。私は森や湖が好きです。森へ行くと色々な植物や動物がいて楽しく,飽きません。ところがこのブログは本当の森ではなく、人体の森へ行きます。木のような骨、川の流れのような血管、道のような神経、これを探検に行こうと思います。学名も、薀蓄も、文学も、音楽も出てきます。試験のヒントが隠れているかも。さあ、メスとピンセットもって出かけましょう。
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頭蓋小変異 2 後頭骨

2009/11/24 18:56
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後頭骨にも有名な小変異があります。ペルーのインカ族の頭蓋に特に多いということから名前の付いたインカ骨です。後頭骨の上部を後頭鱗といいますが、それと頭頂縫合の交わるあたりが小さな独立した骨になることがあります。頭頂間骨と言ったり、左右に延びるラムダ縫合に因んでラムダ骨とも言います。

大きいもの、小さいもの、一個のもの、複数のものなどいろいろなパターンがあります。写真のものは一つですが、かなり大きいものです。アメリカインディアンなどでは20%以上の頻度がありますが、日本人では6.9%です。

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上の写真は舌下神経が脳から出て頭蓋骨を突き抜ける部分の舌下神経管です。後頭骨の後頭顆の基部にあります。普通は長径5-6mmの楕円をしています。

これが時に真ん中の部分に骨性の橋ができて、二分されることがあります。下の写真です。

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これは内頭蓋底の方にできることが多く、頻度は日本人で17%ですが、やはりインディアンやイヌイット(エスキモー)などでは頻度が高くなっています。

(データは東北大学・百々幸雄教授のもを引用しました)


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頭蓋小変異 1 前頭骨

2009/11/20 16:36
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頭蓋骨には微細な形態異常が時々出現します。異常といっても機能的には何の支障もないものです。たとえば上の写真の前頭骨には真中に縫合があります。これは本来左右の前頭骨が完全に癒合して無くなってしまうものですが、それが残ってしまったものです。メトピズムmetopismとも言われます。幅広い前頭骨によく表れると言われますが、まだその機能ははっきりしません。頻度は日本人で6%程度です。

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上の例は前頭孔(眼窩上孔)とよばれる前頭骨の眼窩の上に独立した孔です。ここには三叉神経の枝の眼神経のそのまた枝の眼窩上神経が通ります。この孔は多くの場合、孔を形成しないで、前頭切痕とよばれる切れ込み(下の
写真)だけの形になります。この孔の頻度は日本人の場合約50パーセントといわれます。ところが昔の縄文人やアイヌ人では孔を形成する人がすくないことが分かりました。ということはこの形質には民族による集団差があるということです。

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このような形質を頭蓋小変異とよびますが、なんらかの遺伝的要因が関与しているとされています。こういうものを利用して人類集団の遺伝的な類縁関係を推定することができます。
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ダーウィンと人類進化

2009/11/06 21:40
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11月3日 日本人類学会の主催で公開講演会「ダーウィンと人類進化」が東京大学本郷キャンパス 理学部2号館4階大講堂において開催されました。

講演者は次の通りです。

 長谷川真理子・総合研究大学院大学 先導科学研究科 教授
 馬場悠男・国立科学博物館 人類研究部 前部長
 松沢哲郎・京都大学 霊長類研究所 所長
 斎藤成也・国立遺伝学研究所 集団遺伝研究部門 教授

今、日本での人類進化に関する研究では最高の方々です。本シンポジウムの実務面に関しましては東京大学の植田教授があたられました。文部科学省の援助を受けています。 上は植田教授と最初の講演者、長谷川先生です。

会場は子供から高齢者まで200名の応募者で埋まり、公開シンポジウムらしい雰囲気となリました。もっと広い会場でも良かったかもしれないと思いました。

今回はインターネットなどで聴講者を募集しましたが、締め切りを待たずしてすぐに200席が埋まってしまいました。一般にも人類学ファンがたくさんいることを知っりました。

中高生や若い人も多く、最近人類学会で力を入れている教育普及委員会の活動が実を結んでいると感じました。

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上は終了後の講師サイン会です。今回の講師は皆、一般向け著作が多く、特定のファンもいたようです。本の即売会とサイン会は大変盛況でした。

最後にご来場いただいたお客様に私からお礼の言葉を述べました。特に、中高生には難しい内容を最後まで聞いてもらってうれしく思いました。皆さんが人類学者になってくれれば嬉しい、という激励をしました。



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平成21年度解剖体追悼法要・白菊会総会

2009/11/02 06:51
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一昨日、31日の土曜日は築地本願寺で日本大学松戸歯学部と歯学部の合同追悼法要がありました。両学部の今年度の献体者を慰霊する法要です。毎年この時期に行われますが、今年は良い天気に恵まれ、多くのご遺族が参加されました。ご遺族、学生、教職員、計500名ほどが参加し、本堂はほぼ一杯になりました。

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法要は僧侶の奏楽に始まります。笙、シチリキなど雅楽の音色が本堂に響き渡ります。ついで焼香が始まり、本堂には炊かれた香の香りが充満してきます。参加者全員が焼香します。


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医学における献体の意義はきわめて大きいものがあります。解剖学教育は献体者のご意思で成り立っているといってもいいと思います。今回の法要でも学部長挨拶、輪番の法話などでもそのことが強調されました。


翌11月1日には日比谷公会堂において平成21年度白菊会連合総会が開かれました。東京大学、慈恵医科大学、日本大学など都内と周辺の医科大学、歯科大学白菊会支部の連合大会です。各大学に所属する白菊会会員1000名が参加し、文部科学省や献体協会の方々のお話を聞き、相互の親睦をはかりました(下)。


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新刊紹介 27 口腔解剖学

2009/10/30 11:37
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口腔解剖学の新しい教科書が医歯薬出版から出ました。これまでにも口腔解剖学の教科書はありましたが、国家試験の変化、共用試験の導入、あるいはPBL教育の導入などにより解剖学の役割も変化してきました。そこで新しい知見に基づき、美しく正確なイラストを加え、今の時代の学生に合ったものを提供することになりました。全国の歯科大学の先生方が執筆しています。私も第2章を書いています。

口腔解剖学という表題ではありますが、第1編総論では全身の解剖の概論があります。歯科とはいえ、今は歯科疾患と全身との関係が注目されており、歯のことだけ知っていれば歯医者になれるという時代ではなくなりました。耳鼻科医も眼科医も全身の解剖を経験していると同じ事です。

私の執筆部分は歯科とも直接的な関係がありますが、顔や首の部位名をしっかり知っておこうということで、大きなイラストでいくつかの図を示しました。その一部は本ブログでも出したことがありますのでこちらこちらをクリックしてください。

第2編は各論で、頭頸部の骨や筋、神経、血管などの詳しい形態的説明があります。

第3篇はこれまでの口腔解剖の教科書にはあまりなかった部分で、歯科応用解剖学と題していますが、臨床との関連事項です。これは最近流行しているProblem Based Learning(PBL)を意識しています。なぜ頭頸部の解剖学をやるのか、それはこういった臨床的事柄を解決するために必要なのである、ということをはじめに提示してから、解剖学に入っていくという教育です。

以下に少し長いですが本書の内容を示しておきます。
きれいで分かりやすいイラストが多く、あまり厚くないA4版のソフトカバーは手に持って開くのには疲れない大きさです。ぜひ書店で手にとっていただき、買っていただければ幸いです。



第1編 口腔解剖学総論
 第1章 解剖学用語(脇田 稔)
 第2章 頭頸部の体表(金澤英作)
  1 頭の部位
  2 顔の部位
   1 眼窩部 2 眼窩下部 3 鼻部 4 口部 5 オトガイ部 6 頬部 7 頬骨部 8 耳下腺咬筋部
  3 頸の部位
   1 前頸部 2 胸鎖乳突筋部 3 外側頸三角部 4 後頸部
 第3章 骨学総論(井出吉信,上松博子)
 第4章 筋学総論(井出吉信,上松博子)
 第5章 関節学総論(大野紀和)
 第6章 脈管学総論(山下靖雄)
 第7章 内臓学総論(天野 修)
 第8章 神経学総論(前田健康,杉本朋貞)
 第9章 感覚器学総論(前田健康)
第2編 口腔解剖学各論
 第10章 頭頸部の骨(野坂洋一郎,藤村 朗)
 第11章 頭頸部の筋(島田和幸,田松裕一)
 第12章 頭頸部の関節(井出吉信,阿部伸一)
 第13章 頭頸部の脈管・リンパ系
 第14章 頭頸部の神経系(杉本朋貞,前田健康)
 第15章 頭頸部の内臓
第3編 歯科応用解剖学
 第16章 加齢と歯の喪失に伴う顎骨の変化(井出吉信,松永 智)
 第17章 咀嚼と嚥下(阿部伸一,井出吉信)
 第18章 骨折と筋(齊藤 力,小林正治)
 第19章 義歯と筋(阿部伸一,井出吉信)
 第20章 感染・炎症と隙(柴田俊一)
 第21章 歯科麻酔,神経痛と神経麻痺(一戸達也)
 第22章 画像解剖学(木村幸紀,岡野友宏)
 第23章 気道確保(一戸達也)
 第24章 上顎洞(高橋常男)
 第25章 口腔癌のリンパ節転移・頸部郭清術(坂下英明)
 第26章 抜歯(坂下英明)
 第27章 止血と脈拍(川崎堅三)


口腔解剖学  医歯薬出版 2009.11.9発売
脇田稔・山下靖雄 監修/井出吉信・前田健康・天野修 編 定価 11,550円


 
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第38回松戸祭

2009/10/24 13:25
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学園祭のシーズンです。ここ日本大学松戸歯学部でもこの土日は第38回松戸祭の開催となりました。テーマは「Together みんなで作る松戸祭」です。学生、教職員、地域住民、来場者、皆さんと一緒になって盛り上げたいという意味だそうです。分かりやすくていいですね。

朝9時、特設ステージ上で学部長以下、学生役員や後援会、同窓会の先生方の挨拶があり、開会が宣言されました。ステージではこれから音楽や奇術、女装コンテストなど様々な企画が繰り広げられます。ステージ周辺の中庭には、各クラブの屋台や出店が出て、ものすごいにぎわいです。歯学部のような学生数の少ない学部としては、立派なものです。

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午前中にはテニスコートでオープンテニス大会がありました。テニス部の学生がが全部おぜん立てをしてくれて、教職員、学生が出場しました。私は化学の早川先生と組んで出場しました。皆さんが手加減してくれたおかげで、何と優勝 ?! してしまいました。 上は表彰式後の集合写真です。

ボール拾いから、進行、開会式、閉会式まですべてやってくれたテニス部の学生たちに感謝感謝。

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新刊紹介 26 アイヌの歴史 海と宝のノマド

2009/10/21 14:54
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一昨年の国連における「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を受けて、日本の国会でも昨年、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」がなされました。その後「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が設置され、本年7月には懇談会からの報告書を見るに至りました。この一連のアイヌ政策の流れは、一般の人々にも知られるようになったかと思いますが、この流れを受けてアイヌ関連の書物も出版点数が増えています。

本書はそのような流れの中での一冊です。考古学の研究に基づいたアイヌの通史ですが、普通の概説と違うところは、この北の狩猟民族が持っていた「宝」とその宝が生み出した「格差社会」という視点からの歴史を語っているところです。平板なアイヌ社会の紹介本は退屈ですが、このような現代にも通ずる社会構造を成り立たせる人間的立場に立っての通史はとても魅力的です。

副題は「海と宝のノマド」。ノマドとはラテン語に由来する言葉で、遊牧民とか放浪者という意味です。
内容は次の通りです。

第1章 アイヌ文化のなりたち――北の縄文から近世
第2章 格差社会の誕生――宝と不平等
第3章 「サケの民」の成立――交易品を推理する 1
第4章 ワシ羽をもとめる人びと――交易品を推理する 2
第5章 侵略する北の狩猟採集民――オホーツク文化との関係
第6章 境界をみる――「日本」文化との関係
第7章 アイヌ・エコシステムの世界――交易と世界観の転換


さて、その宝とは???
   ◎ 写真付きで説明されています。

そのほかの宝とは???
   ◎ サケ、ワシ羽、家、石囲炉、ミイラなど

宝物を交易や戦争によって求めていったアイヌ民族。 著者は最後にこう語っています。
「アイヌの宝とは異文化からやってくるものであり、差異そのものだった。宝を持つことは差違を持つことであり、他者との間に簡単に埋めることのできない差異を持つことが名誉と威信を保証した。そして、宝は他者との差異化を推し進め、社会の階層化を拡大してゆく基盤をなした。」

本書は、これまであまり語られなかったアイヌ文化の一側面をダイナミックに描き出した会心作と評価してよいでしょう。考古学に明るくない人でも大変わかりやすく、楽しく読めます。


アイヌの歴史-海と宝のノマド-
著者: 瀬川拓郎 北海道旭川市博物館学芸員

発行年月日:2007/11/10
サイズ:四六判
ページ数:278
ISBN:978-4-06-258401-2

定価(税込):1,680円


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