尾骨 

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脊柱を構成する椎骨の中に尾骨があります。仙骨の先にくっついています。ご存じのとおり、多くの動物では長くて立派な尻尾がついていますが、霊長類ではこれが退化し、人間ではほとんど痕跡的になっています。上の写真は骨盤を後ろからみた骨格です。

解剖学的には通常、4-5個の尾椎があり、これをひとまとめにして尾骨と言います。 椎体や椎弓をもった椎骨の基本形は第1尾椎にかろうじて認められますが、それ以下は痕跡的な椎体のみとなります。

下の写真は骨格が腹臥位での骨盤を横からみたところです。尾骨が緩やかな曲線を描き、先端が少し骨盤内へ向かっていることが分かります。ラテン語学名のos coccygis はカッコウとかホトトギスの意味ですが、形がこの鳥のくちばしに似ているからです。とはいっても、カッコウのくちばしの形を知らない人も多いと思いますのでその絵も載せておきましょう。

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        動物系統分類学10、脊椎動物Ⅲ、中山書店、209ページより引用


カッコウのくちばしは横からみると長く、先端に向けて緩やかなカーブがあります。ワシやタカのような鋭い先端部の曲がりはありませんが、昆虫を主食とする力強いくちばしの形をしています。カッコウの鳴き声はよく聞きますが、姿を見ることはあまりありません。しかし、昔は非常よくいた鳥で、誰もが知っていたので学名になったのだと思います。由来は古く、ヴェサリウスのファブリカにすでにos coccygis と記載されています。直訳するとカッコウ骨ですが、それは使われたことはありません。

日本語は解体新書で骶骨、その後尾骶骨(びていこつ)が長く使われていましたが、今は尾骨です。いずれも中国語由来です。

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上の写真は骨盤腔を上からみたところですが、その下の方、いわゆる骨盤下口に尾骨が飛び出ていることが分かります。尾骨の先端から恥骨までの距離が、骨盤下口縦径、左右の坐骨棘間距離が骨盤下口横径となりますが、いずれも骨盤腔の中で最も狭いところです。出産時にはこれらの距離を計測して分娩法を決めます。

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