解剖学の教科書 その11 グレイ解剖学 学生版

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有名なグレイの名を冠した教科書です。解剖学の世界はもとより、医学全体の中でも有名な出版物で、すでにこのブログでも紹介しました。

しかし今回のものは以前紹介したものとは別のものです。いわゆる Gray's Anatomy はイギリス版とアメリカ版があり、いずれも持ち歩くことができないほどの大冊です。今回の出版物は学生向けに新しく書かれたもので、まあまあ、持って歩けるほどの厚さで、値段も手ごろになっています。日本語訳は昨年2007年9月に出版されました。

本の題名は英語ではGray's Anatomy for Students となっていますが、日本語の題名に「学生版」という言葉はありません。これは恐らく営業面を考えてのことかと思いますが、少し混乱します。

学生版とはいっても内容は豊富で、斬新なものです。次のようなことが特徴になっているかと思います。

1. 医学教育全体の目標が、臨床医を育てることにシフトしている現在、臨床的な事柄から解剖学へ入ってゆく、という記述になっています。これは3人の著者(Drs. Drake, Vogl, Mitchell)がそれぞれ、外科、解剖、放射線を専門にしていることからも分かります。

2. 今の大学教育で広まっているPBL(Problem Based Learning)方式を取り入れ、随所に臨床症例が挿入され、それに関連した解剖学的説明がわかりやすい図とともに掲載されています。とくに画像診断については詳しく説明されています。古い解剖学書とは大きく異なるところです。

3. 全体の構成が、局所解剖学的になっています。すなわち、章建てが、画像診断、背部、胸部、腹部、骨盤と会陰、下肢、上肢、のようになっており、いわゆる従来の系統解剖学で採用されている、骨格系、筋肉系、循環器系・・・のような構成にはなっていません。 このあたりは古い方法で解剖学を学んできた現在の解剖学の教員にとって、本書を教科書として採用するかどうか悩ましいところです。

4. 図はすべて新しく書き下ろされたもので、カラフルで分かりやすくなっています。新しい角度からの図も多く採用されています。全体としては活字のスペースよりも図や写真のスペースが圧倒的に多くなっています。


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上は原書の表紙です。原書は2004年の出版です。すでに多くの外国語に翻訳されています。

翻訳は、塩田浩平(京都大学教授)、瀬口春道(神戸女子大学教授、高知大学名誉教授)、大谷 浩(島根大学教授)、杉本哲夫(関西医科大学教授)

出版社: エルゼビア・ジャパン (2007/09)

価格:¥ 10,500 (税込)


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