ホームページ開設 2 レンブラント

ホームページを開設してまだ数日ですが、メールなどでいくつか祝辞をもらいました。表紙の絵はレンブラントの有名なトゥルプ博士の解剖講義という絵です。人体解剖図はいくらでもありますが、解剖をしている姿を絵にしたものはそうありません。しかも有名な画家が描いた名画となるとこれが唯一のものではないでしょうか。

ホームページに写真を載せるとなるといろいろ制約のあることがわかりました。写真のファイル名が日本語だとホームページ上では×印が付いて写真が見えないという状態になります。少しそういうページもありますが、すぐに直しますのでよろしくお願いします。

ホームページ開設という標題にはトラックバックという機能がたくさん働いたようでビックリしました。キーワードを待っている広告媒体がたくさんあるということですね。

画像


この絵はレンブラントが1631年に描いたものです。レンブラントは「自画像」や「夜警」などで有名ですが、写真のない当時、金持ちの肖像画や職域団体の集合肖像画を描いていました。これは外科医組合の依頼を受けたレンブラントが、トゥルプ博士の解剖講義の様子を描いたものです。

博士の堂々たる解剖手技と、その講義に見入る医師達の驚きに満ちた視線が感じられます。
遺体を最も浮かびあがらせる光線、遺体から人物に当たる光と人々の黒い衣装。光の魔術師と言われたレンブラントの面目躍如といったところです。

博士がつまんでいる筋肉は浅指屈筋 Musculus flexor digitorum superficialis でしょう。やや遠くを見る目つきで、口は半開きです。 Dat is musculus ・・・(オランダ語) と言っている最中でしょうか。筋の生々しい色、よく伸びた腱の様子などから、死後間もない、未固定の遺体だと思います。筋に光沢のあるところなどはレンブラントならではの技術ですね。

それにしても前腕の屈筋支帯などを取り除いて下層に筋肉がきれいに剖出されています。当時のオランダ医学のレベルの高さが示されています。それをスケッチするレンブラントも相当な知識があったはずです。そうでないとこのように正確に筋の様子や腱の数などは描けないと思います。

翻って、日本のことを考えると、まだ江戸時代の初期、山脇東洋が初めて人体解剖をしたのが1750年ころですから、当時のヨーロッパと日本は大差がついていたということになります。

この絵はハーグのマウリッツハウスという美術館にあります。私は1981-82年のオランダ留学中に何度かこの美術館に行きほかの有名な絵画をたくさん見ましたが、運悪くこの絵はほかの美術館へ貸し出し中でした。これを見るのも私の悲願であります。


この記事へのコメント

伊太利屋次郎
2007年12月06日 09:55
ホームページ開設おめでとうございます。メンテが大変でしょうが今後を期待します。
レンブラントのトゥルプ博士の解剖図ですが,示説している浅指屈筋の起始が外側上顆のように見えますね。有名な(?)間違い,とどこかで聞いたことがあります。
松戸解剖
2007年12月06日 18:03
伊太利屋次郎殿 貴重なご指摘ありがとうございました。今、拡大して見てみましたが、確かに外側っぽく見えますが、微妙ですね。ちょうど肘のあたりが角度的によく見えなくなっています。しかし、歴史的に有名な間違いとなるとどっかに考証した論文でもあるのでしょう。探してみます。そうなるとブログの文章も書き換えないといけないですね。
ヒューズ
2007年12月07日 09:19
 確かに、トラバの多さには目を見張りました。3流アイドルが、ブログ開設したみたいな勢いでしたね。
 この解剖図に関しては、「内蔵が腐りやすいので、当時は、手から剖出されることはない」ので、これが間違いだ、と書いてあるものを見たことがあります。
 ま、私には、それを検証する術もありませんし、それで、レンブラントの評価が下がるものでもないでしょう。

 何れにせよ、ヒューズもレンブラントの現物を拝見したいものであります。
伊太利屋次郎
2007年12月07日 10:16
http://www12.plala.or.jp/dayoucong/B352396622/C1389737823/E20071025210700/index.html
辺りが参考になります。この誤り(?)に関する,「肉単」本の引用やら,オランダ語の文献(とその英文抄録)も見つかります。私は浅指屈筋にしては走行が違う(外側上顆に起始を持つような)と教えられてましたが,イャ~色々な意見がありますね。美術価値は損なわれないにしても,解剖学を齧ったものならこういう興味(あら捜し?)も...
松戸解剖
2007年12月07日 17:27
ヒューズ殿
確かにいきなり腕から解剖するのも奇妙ですね。それも前腕のみ。外科医たちからのリクエストか、死体をきれいに描きたかったレンブラントの意匠か。謎の多い絵ですね。

松戸解剖
2007年12月07日 17:41
伊太利屋次郎
いや、驚きましたね。肉単氏にしても中国の医科大学氏にしても、シャーロックホームズのようですね。オランダ語文献に至っては絵の誤りを実証するために、テュルプ博士の解剖と全く同じ設定で実際に解剖して絵と同じ角度から観察し、考証を試みている。それも去年の仕事です。

驚きです。人間のあくなき好奇心を見る思いです。とはいえ、私もやる気になってきてしまいました!!!。ちょうど実習中なので、来週チャレンジしてみます。
松戸解剖
2007年12月08日 10:19
伊太利屋次郎殿
夕べ家でレンブラントの画集をもう一度見てみました。確かにおかしい感じはあります。解説は詳しい前腕部の構造には触れていませんが、この解剖体は28歳の死刑囚であること、当時年に1回解剖を大衆の前でやる見世物があったこと、普通は腹部から解剖して行くことなどこの絵の背景がるるつづってありました。絵の構造、特に右下に開かれた大きな解剖学書に何人かの医師の視線が行っていることなども重要だそうです。謎を秘めた絵です。

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