解剖学と文学 3

ドクトルマンボウこと北杜夫も芥川賞を受賞した作家です。われわれの若いころ、遠藤周作と並んで硬派、軟派を取り混ぜていろいろな随筆や小説を書いて楽しませてくれた作家です。

東北大学医学部出身ですが、父である歌人で精神科医の斉藤茂吉の影響を受け、無理やり医学部に行かされたそうですが、その自伝的エッセイが「ドクトルマンボウ青春記」です。

旧制高校の思い出やエピソードがたくさんありますが、「医学部というところ」と題して医学部時代の経験を書いています。中でも解剖学の思い出もたくさんあるようで、いろいろ出てきます。

「(解剖学名の)中にはとんでもない長いやつがある。たとえば首のところを斜めに走っている重要な筋肉は、ムスクルス・ステルノクライドマストイデウスという(私はあんまり癪にさわって、「幽霊」という最初の長編の中にこの名をわざわざ使用したことがある)。これがもっと小物になると、ブルザ・トロアンテリカ・ムスクリ・グルティ・メディ・ポステリオールなんて、どこの貴族だか乞食だかわからないような名が出現する。」

解剖学に初めて接した医学生の驚きがユーモアたっぷりに描かれています。解剖学のある種の狂気の部分を冷めた目で見られるのは作者自身が医学が第一志望でなかったことや文学に自信があったから出来る事なのでしょう。

この次には坐骨神経の話が出てきます。父斉藤茂吉に医学部で勉強しているかどうかを試される場面で、「坐骨神経の枝を言ってみろ」と言われます。あわてて思い出そうとしますが、いくつかの枝のところまでで後が思い出せない。父はその様子を見て立腹し始めた。その後が傑作。父も思い出せないのでさらに怒る。しかし。そうこうするうちに父がなんとその名を思い出してしまったのである。

「何十年前のことをおれがおぼえているというのに、現役のおまえが知らぬとはなにごとだ!」
ああ、憎気も憎き坐骨神経よ。・・・・・・・・

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