解剖学の教科書・参考書 その1

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 そろそろ新学期も近づいてきたので解剖学の参考書や教科書の話でもしましょう。解剖学は古い学問ですから昔からたくさんありますが、はじめに「グレイの解剖学」を紹介します。1858年にイギリスのヘンリー・グレイという解剖学者が書いた Gray’s Anatomy は現在使われている解剖学の本としては最も古いもので、なおかつ世界中で読まれています。解剖学のような専門的な本は日本の書店では一般の人々の目に触れるようなところには置いてありません。それは欧米でも一緒ですが、グレイの解剖学だけは別格です。学術的な本を置く書店では店頭に重ねてありますし、私は空港の書店で見たことがあります。それほど一般に広まった専門書ということになります。欧米では出版物としての知名度はきわめて高く、読んだことはなくても書名は普通の人でも知っています。最近ではGray’s Anatomy という病院もの映画がアメリカで大変はやったようです。
 
 この本は当初イギリスで出版され、その後アメリカ版というのが出ました。両方とも版を重ね、イギリス版はどんどん新しい研究結果を取り入れ、内容も大きく変わりました。一方、アメリカ版も版を重ねましたが、当初のオーソドックスなマクロ解剖を中心とした記載方法を踏襲しました。この写真の本はアメリカ版29版を日本語に翻訳したもので、1981年に廣川書店から出版されています。3分冊になっています。私も骨格の部分の翻訳の手伝いをさせてもらっています。色々な解剖学書を見てもどうも良くわからないという時、このグレイの解剖学書を読むと氷解することが多々あります。解剖学書というのは読む本というより辞典的性格を持っていますが、その点英語辞書のウェブスターに匹敵するものがあります。最近はアメリカ版も、イギリス版に似て、最新の知見が大幅に増え、かつての面影はなくなってきました。29版の日本語翻訳はいいタイミングだったと思います。グレイが最もグレイらしかった頃の版を封印したようなものです。図書館にもありますので利用されることをお奨めします。
とはいえ、紹介させていただいた手前、最新の39版の宣伝もしておきましょう。宣伝文句は次の通りです。
 
 「近代医学から現代医学まで約1世紀半にわたり、医学教育と実践に多大な貢献をしてきたマクロ解剖学の定本「Gray's Anatomy」の21世紀になって初めての全面改訂版。今回は解剖学・基礎医学の研究者に臨床医を加えたチームを立ち上げ、Grayの伝統を尊重しつつも新しい概念を導入し、第39版を作り上げることに成功しました。」

下の写真です。33,600 円、CD付き。ただし一人では運べないほど重たいですから書店で見てから買うようにしましょう。
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この記事へのコメント

ふせ
2007年03月07日 13:23
 39版っすか。凄いっすね。ブログを参考にさせていただくと,相当なヴォリュームの校正が入っているようですが...
 今後も気がついたことにコメントさせていただきますので,よろしくお願いします。
 犬,かわいいっす。
松戸解剖
2007年03月07日 14:52
ふせさん、ご指摘ありがとうございました。まだわからないことだらけです。よろしくお願いいたします。
アデレード君
2007年03月07日 16:18
CD付のやつは私が提案して最近買ってもらいました。画像を駆使して講義を盛り上げたいと思います。

とはいえ、確かに重いですよね
松戸解剖
2007年03月07日 17:17
アデレード君、期待してますよ。とにかくこの本は先ず開こうという気力が必要ですね。
愛可
2012年11月17日 19:38
この39版と40版はいい本です。しかも、日本語訳したこの39版か40版は出版していましたかな。

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